2012年12月28日金曜日

年の瀬の焦り

出社したら今日から休みのはずのイさんがいた。「昨日仕事終わらなかった」と言って泣きそうな顔をしている。

アオキさんがやって来て

「あれ、返してもらえる?」

というようなことを言った。

私は何のこと言われてるか全然思い当たらなかったけど、何か借りてたような気もしなくもなくて、たじたじとしてしまった。

「何、借りてましたっけ?」

と、吃りながら聞き返すと、アオキさんは、「あれ、やっぱパクさんだっけな...」と呟きながら、右手を机の上に置いた。

その右手が水風船のように膨れていて尋常じゃない。

それで、これは夢だと気づいた。

これが夢と言うことは、つまり、私はまだ出社していないということだ。
出社してないということは遅刻してしまうということだ。
速やかにベッドから起き上がって会社にいかなけれはならない。

そう思ったとたん、ベッドの中の重い体か意識される。
重い体はびくともしない。
この重い体をロフトベッドから下ろせばきっと目が覚める。
渾身の気合いで体を引きずる。
片足がズルンとベッドから落ちる。
まったく力の入らない足がだらしなくブラブラと垂れ下がっているのを感じる。
あとすこし...このベッドから落ち出さえすれば...
もう片方の足もベッドからずり落ちる。
足の裏が何かのへりをとらえる。
ほら、もう少し、足を踏ん張って...

ふと、ぬくぬくと布団にくるまってベッドの中で丸くなっている自分を発見した。

目覚めた冬の朝はしんとしていた。

2012年12月20日木曜日

目で聴く

卒業間近で、みんな浮き足立っているところにこのイベントだ。

図書室かなんかの本棚と本棚の間で、パンダのぬいぐるみを頭に被ったチバッチとユミちゃんが、キスしてるのを見てしまった。
二人の頭の上に乗ったパンダの鼻先がぶつかっちゃうので、うまくキスできなくて、二人ははにかんで笑っていた。
本棚に囲まれているわりには白い陽に包まれて、平和な昼下がりだった。

コンサートホールはまだ開場しておらず、エントランスホールには人がたむろしている。
最近ちょっと気になってる男の子が手招きするので駆け寄ると、男の子の指したとこのに覗き穴があいていた。
覗くと、殆どなにも見えなかったけど、ホールの中でリハーサルしている音が聞こえた。

目を近づけると、音が聞こえる。
私、目で音楽を聴いてるんだな、と感心した。

人のよさそうな、黒スーツの男がやって来て、バックヤードの部屋は広くて大変居心地が良いが、あの電話は受けるだけでなくこちらからかけることもできるのか?と聞いてきた。
出演者のSPかなんかだろう。私は関係者ではないからわからないと答えると、失礼しましたと言っていなくなった。
今思うと彼はリチャードさんだったかもしれない。

別の日、私はまたコンサートホールを目指していた。
さっき女友達と、そこで知り合った同じファンの男と連れだってあるく。
すこし迷いぎみ。

たしかこの道を踏切の手前で右に曲がって、肉のハナマサで左に曲がる...

私たちの目当ては、若くして世界から注目されているコンポーザー。
今日は彼が珍しく、オケに混じってバイオリンを弾くというのだから見逃せない。

なんとかコンサートホールについてみると、オケはガラスケースにすっぽりとはいっていた。

聴衆は、ガラスケースのまわり、360度、どこからでも演奏を楽しめる仕組みらしい。
私たちの目当てのコンポーザーは、上手の中段に座っていた。
サワオさんみたいなパーマかけてる。
私はショウケースにかぶりつきで、宝石のようなオケに見いった。

2012年12月5日水曜日

スクールライフ

後輩が賞を獲った。
心の底では嫉妬してたけど、「私とは形式が違うから」と自分に言い聞かせることで、何とか平気なフリをして、笑顔で彼女を祝福した。

クラスルームではいつも遅刻してくる男子が、慌てもせずに席につくところだった。
彼はくるっと振り向いて、後ろの席の女子にタブレット型の白い薬を渡した。
彼は毎日彼女のために、その白い薬を一錠持ってくるのだった。
華奢な彼女はいつも笑って(その顔は私からは見えないのだけど、多分笑って)
「ありがとう。優しいね。」
って男子に言う。
男子は毎日のようにはにかんで、黒板の方へと向き直る。

私は毎日のこのやりとりが、嫌じゃない。

登校時は、近所の男子と二人で坂道を下る。
坂道の途中に熊がいた。
熊は、痩せこけて、もう殆どオオカミのようだった。
男子はビビってはいたけど、熊に遭遇すること自体には慣れていて、騒ぎ立てたりせず、ゆっくりとあとずさった。
私は彼の、腰の引けた頼りなげな背中にしがみついて、けれどもじりじりとその背中を押した。

押し合いながらも結局私たちはゆっくりと前進し、熊の前を通り過ぎると、男子が「走れ」とささやいたのを合図に猛烈にダッシュした。
熊が気付いて追いかけてきたので、私たちは坂の脇に跳び、土手を転がり落ちていった。

2012年12月4日火曜日

そのエレベータは独立している

人びとはそれを単に「エレベータ」と呼んでいた。

原っぱに立つそれは、近隣の建物に抜きん出て高く、5人がけくらいの長椅子がむき出しに取り付けられていて、ボタン操作で昇降できる。

降りたところにも昇ったところにも何あるわけでもなく、途中で降りられるわけでも、建物内に入れるわけでもない。

エレベータを利用する者は稀だった。
利用、と言っても、椅子に座って昇って降りるだけ。
エレベータはとても高いし原っぱは風もあって危ないばかりだ。

私は、このエレベータにのるが好きだったような気がして、その、禿げたベロアの席に座った。

誰もいないと思ったのに、三人のじじばばが乗り合わせた。
彼らは、悪いこと言わない、早く降りた方がいい、とかなんとかいいながら、動いているエレベータから横壁によじり降り、それぞれ何かしらの突起を見つけて器用にしがみついた。

セミのように壁に張り付いたじじばばを尻目に、私は上昇し続けた。

上にいくにつれ、風が強くなっていく。
私はほとんど、椅子にしがみついたような格好をして、強風に目を細めていたけれど、心はとても穏やかだった。

エレベータも穏やかに上昇し続けた。

2012年11月28日水曜日

分岐点としてのアイランド

南の島にみんなで遊びに言ったときのこと。
みんなってゆうのが誰だったかははっきりしないのだけど、学生仲間だったと思う。
修学旅行だった気もする。

それでみんなすごいテンション上がってて、コテージで着替えてわーって外に飛び出したんだけど、なんか、あ、忘れ物したー、って思って戻ってみたら、部屋に一人、人がまだ残ってた。

部屋に入るなり、私は彼女(彼?)が、自らの命を絶とうと試みていたことを察した。
ので、

阻止すべく、のらりくらりと理由をつけて、部屋に居座った。

しばらくすると、島の原住民が攻めてきて、自殺未遂をした子は連れ去られた。

その後、私たちの仲間がいっぱいやってきて、連れ去られた子を奪還しようと試みていたが、正直、原住民と家族みたいになってるその子本人は、そのままで十分幸せそうだった。

とはいえ、私たちの仲間の文明は凄まじく、おとり作戦でその子を奪還した。
因に、おとりとして原住民の元へ向かったのは私だった。

戻ったあの子は、原住民生活で培ったたくましさで、健やかに成長し、鉄も道工も使わず、木と草を材料に、素手で作り上げる、原住民伝統の船作りのインストラクターになった。

あの子、幸せそうだなって、原住民になった私は思った。

2012年11月22日木曜日

学ランと割りばしと廊下の落書き

税金とかの手続きの関係で、1日だけ高校に戻って授業を受けなければいけなくなった。

直属の上司が、教育実習の先生の体でついてきてくれている。

夢の中では辛苦を共にした上司、というような意識でいたけれど、今思い出す限りではまったく見たことない男だった。
体が小さくて、比率的に顔がデカイ。
茶髪でタイトな黒のスーツを着ているその上司は、高校では英語の教鞭をとるらしかった。

私は彼の授業中に早弁をしていたのだけど、こそこそ食べるのに疲れたので、教室の外に出た。

出るとき、手がすべって、割りばしの片方が隣の教室の廊下に飛んでいってしまい、慌てて拾いにいった。

隣の教室の廊下は学ランの生徒であふれかえっており、なんか異常で不毛な活気に満ちていて、割りばしとりにいっただけなのに、いい年してドキドキしてしまった。

それから弁当は食べず、トイレに入った。
トイレは男女共用で、私は男性用小便器でタチションをした。
ふと隣を見ると、レイちゃんがタチションしていた。
あまりにも久し振りでびっくりして、自分もレイちゃんも女なのにタチションしてることにはなんの違和感ももたなかった。

それよりも、用を足している間に私が考えたのは、トイレや廊下の壁にほどよく施された落書きのことだった。
落書きなんだから、ランダムに書きなぐられているはずなのに、何となく統一感があり、60年代のような、学生闘争時代を思わせるような、レトロな雰囲気がある。
ホベ校の落書きの独特さがなんだか誇らしい気がした。

トイレのすみではイケメンの男子生徒の二人連れがいて、ニヤニヤしながらこっちを見ていた。
十代のガキんちょと侮りながらも、やっぱりドキドキしている自分がいて情けない。
しかもよく考えたら、用を足しているところを見られてるんじゃないか!?
事実にがく然としたところでそそくさとトイレを後にした。

教室に戻ると、上司の英語の授業がまだ続いていた。私が堂々と教室に入っていっても、見とがめる者はない。出入り自由な校風らしい。

上司の英語授業は白熱していた。
大阪のオバチャンみたいな振る舞いで生徒を笑わせたかと思うと松岡修三なみの熱弁を奮う。
生徒たちは授業にすっかり夢中になっている。
みんなが先生に当てられたくて手をあげる。私も喉から手が出るほど当ててほしかったが、大人なので我慢して、ずっと静観を決め込んだ。
上司の授業は本当に素晴らしく、私、この人の部下でいることが誇らしい...!
と思えてきて胸が熱くなった。

授業が終わって教室を出ると、一緒に出てきたソース顔の女子が

「私来週から保育園の実習でまた来るからよろしくね」
と微笑みかけてきた。
そんなこと言われても私はまた来ないからなんと答えていいか分からないし、この人雰囲気がシラタさんににてるなあなんて思ってボーッとなっていると、廊下の向こうからヨシコフが歩いて来るのが見えた。

ヨシコフは妖怪じみた様子に一段と磨きがかかってきて、ハウルの動く城に出てくる魔女のようだった。

「あ、ヨシコフだ」
隣でそう呟いた男子生徒はウエスギくんとシンヤくんを足して二で割った感じの不思議な顔をしていて、ついまじまじと見いってしまった。
するとその男子生徒は照れくさそうに、
「や、自分でも俺最近ヨシコフにマジそっくりだなって思うんだよね」
と言った。
言われてみると、たしかにヨシコフに似ている気がして、でもやっぱり全然違う気もして、さらにじろじろ見てしまった。

帰り道、マッキーと一緒になった。
マッキーがみんなを懐かしがるのでなんか嬉しくなった。
キッちゃんちの前の仲良し公園で、ミーちゃんとかマイちゃんとかに電話をかけて呼び出すことにした。

仲良し公園は暖かな夕陽に包まれていた。

2012年11月19日月曜日

オールフレンズゲーム

野球場。
女友達対男友達。
幼なじみも学生時代の友達も会社の同僚もみんなみんないっしょくた。

私も女チームで参加している。
もうへとへとだ。

2回戦。
「次は誰出る?」
「またくじで決める?」
息を切らした女子たちが相談をはじめる。
私はもう動きたくなかったので、
「さっき出てなかった人が出ればいいじゃん」
と、キレギレの息で訴えた。

交代も含めて、さっき出ていた11人を除くと、残りは4人。
これでは全然足りない。
結局またでなければいけないのか...

自らの、友達の少なさを恨む朝だった。

今朝の夢に私のオールフレンズチームが出てきたのと、今日の昼間に隣の席の人がオールレーズンくれたのは、なんか関係あるのかしら?

...ないか。

2012年11月12日月曜日

Run in Yukata

走らなきゃ
浴衣姿で走らなきゃ
新聞配達間に合わない
走らなきゃ
国道沿いを走らなきゃ

浴衣だけど走るよ
おかまいなしに走るよ
裾はためかして走るよ
そんな破天荒な自分に満足感

でもさ、実際、帯ズレル
帯がズレルとまっすぐ走れない
帯が左にズレルと進路も左にそれる
帯が右にズレルと進路も右にそれる
まったく上手く走れない

でも走るっ
意地でも走るっ
浴衣で走るっ

2012年11月11日日曜日

フラグメント

みたらし団子の大食い
三人連れ
私もサカナクションのファンですと言う取引先

2012年10月26日金曜日

(笑)

女友達が二股かけている。
一人はエリート大学出で年収うん千万のキャリア組。
まだ若いが沈着冷静で、生き方にブレが無い。
一人は高校時代の同級生。
学生だった頃からモテモテで、男子にも人気があり、人付き合いで困ったことがないが、大人になってもフラフラ遊びまくっている。

人生のパートナーとしては、前者が本命。
恋の相手としては、後者が本命。

私はエリートとも顔見知りだし、遊び人の方とは同級生だ。
彼女が学生の頃から彼に片想いしてたのも知ってるし、エリート男がどれ程現在の彼女の心の支えになってるかもしっている。

遊び人の方と私が差しで呑んでいたとき、私は彼に、彼女との結婚をすすめた。
「いつまでもいいようにつれまわしてばかりだと今に逃げられるよ。」
いくら言っても、ニヤニヤ笑っているだけの男に腹がたって、なにもかもバラしてやろうかと思ったけど、結局何も言わなかった。

*****

100均で長靴を買った。
紙袋みたいな素材でできている。
履いていると、
「長靴なんてそんなんでいいよね」
とか
「え!100円で!?」
なんて、みんなに声をかけられるのでいい気分になった。

*****

女友達が私にメガネ男子を3人も紹介してくれた。
どの人も個性的で、イケメン。
「どう?」
と、女友達に聞かれて、イケメンたちと私は
「どうって言われてもねえ」
と苦笑い。
女友達が
「大体月々4万から6万円だよ。」
と言った。
私は一瞬(え月収?)と思ったが、すぐに思い直した。
「維持費6万は私の財布にはきついな~」
そう言って笑うと、イケメン3人も笑った。
女友達も笑った。

あの瞬間、なんでみんな笑っていたのかよくわからない。

2012年10月21日日曜日

家庭用地熱発電キット

庭が燃えている。
そこかしこで燃えている。
こんなどしゃ降りの雨の中、消えもせずに燃えている。

雨なので、山に燃え移る心配もない。
炎は大きくなったり消えかかったりを繰り返している。

地熱発電の一種らしい。

あまりにも雨がひどいので、チャチャを玄関にいれてあげる。

2012年10月16日火曜日

そうゆう選択肢

もう、少なくとも人生取り返しのつく歳ではない。

東京から北海道に戻る船に乗り合わせた男女5人と、惰性でつるむ。
公園の屋台かなんかの前にたむろして。

虫が飛んでいる。
女がつまらなそうに笑っている。

若い男はアメリカ帰りらしい。
「やー、でも、3000円で帰って来れるとは思わなかった...」

声に自慢の含みがある。
タンカーにこっそり乗り込んで帰って来たらしいその若い男は、何かにつけて、自分の海外での武勇伝を差し挟もうとする。
中年の男がそれにいちいち大げさな賛辞を贈る。
女は、若い男ばかりが凄い凄いと言われるのが面白くないらしく、なんとか話題を変えようと躍起になっているが、今のところ、うまくいっていない。

「あんたも、行ったことある?海外」

若い男に聞かれた。

「今年の夏はサンフランシスコに...」

「え、うっそ、俺もちょっと寄った!春先に。え、何してたの?シスコで。」

「...昼寝かな」

笑いが起こる。
女のつまならなそうな笑い声。
中年男の子大げさな笑い声。

彼らは知らない。
俺がサンフランシスコで何をしたか。

昼寝はした。
それは本当だった。
毎日同じ時間に公園で昼寝をした。
毎日散歩にくるラブラドールを眺めた。
それから、人を一人殺して、帰国した。

人を殺すのは、初めてではない。
もう何人か殺した。

誰に頼まれる訳でもない。
殺したくて殺している訳でもない。
ただ、殺すという選択肢しかなくて殺してきた。

もちろん、殺らなければ殺られる、というような状況だった訳ではない。

たとえば、外に出かける時、靴を一足しか持っていないとする。
他に選択肢がないのだから、その靴を履いて外へ出る。

そういうことだ。
自分の命に関わることでなくても、それしか選択肢がないということは、結構たくさんある。

そういう状況で、俺は人を殺してきた。

この事を誰かに話したことはない。
話そうと思ったこともない。

みんなそうだ。
誰かに自分の事を話すとき、話すことと、話さないことが必ずある。
殊に、選ぶ余地のないことを敢えて人に話したりはしない。
そういうものだ。

そこの若い男みたいに自分の事をやたら話したがるやつもいれば、同じ若い男でも、そっちの小柄な方は、相槌ばかりで、ほとんどなにも話さない。

芝生がハゲかかっている。
噴水の水が光る。

殺してきた人間は、自分の知り合いだったこともあるし、まったく知らないやつだったこともある。
殺す人間を、自分で選んだことは一度もない。
他に選択肢がなくて、殺すしかなくて殺すのだ。そうなる前に人を選べるはずかない。

誰かが、寒くなってきたので移動しようと言い出した。
銭湯にでも行こうかということになり、近間の健康ランドに向かう。

だらだらと歩き始めた背中に、俺は銃を突きつけた。

********

この夢を見ているとき、実のところ、主人公の殺人鬼は私自身ではなかった。私は夢の中に登場していなくて、殺人鬼を含む5人全員が自分と別の人格であることを、はっきり理解していた。

にもかかわらず、私にはこの殺人鬼の考えというか、感じていることが、いたいほどよくわかる気がした。
何とも言えないその感情がひしひしと伝わって来て、切ないほどだった。
だから、一人称で書いてみた方が、夢の感じが再現できるかと思ってやってみた。

******

この後殺人鬼は
「この中の3人殺す」
と宣言して銃をうち始める。
女が悲鳴を上げて逃げ出すのを背中から撃ち殺す。
ところが全員逃げ腰と思いきや、それまで大人しくて全然目立たなかった、小柄な若い男が反撃してくる。
よく見ると彼はチバっちを一回り大きくしたような感じの青年で、恐ろしく端正な顔をしているのに驚いた。

彼は肩に構えていたビデオカメラが実は機関銃になっていてた。 James McAvoyにも似ていた気がする。

思わぬ反撃に慌てた殺人鬼は自分のピストルを乱射しまくり、最初の「3人」という宣言など関係なく、その場の全員を打つ。

ハンサム男の肩越しに、中年男が
「お前が反撃しなければ俺は助かったかも知れないのに...余計なことしやがって!」
というような事を叫びながら倒れていくのが見える。

小柄なハンサム男は自分が蜂の巣になりながらも、機関銃を打ち続け、殺人鬼も倒れる。

**********

冷静に思い返してみると随分恐ろしげな夢を見たと思うが、夢見ている時は全然怖くなかった。

自分が登場してないせいもあるんだろうけど、殺人鬼に対する親近感がものすごく強くて、なんとも錆びたような気持ちになった。

殺人鬼の孤独感と一般的な大人が感じる孤独感て結局、同じものなんだな、とか思った。
選ぶ余地もなく、人と共有することもなく、そうやって積み重ねてきた時間の孤独。

************

あの、もちろん、今ちゃんと目が覚めてる状態で、殺人鬼なんかに一ミリも共感できません。

2012年10月15日月曜日

エクスクルーズ

「お相撲さんは、川で競技したあとは、あっちの、あの小屋見えるでしょ?あの小屋の裏にもっとちゃんとした建物があって、そこで休むんだよ。だから大丈夫。」

って友達に説明してるってゆう。

2012年10月14日日曜日

Миша

ロシアのテレビ局が来日し、通訳をすることになった。
私とゴトウくんで、テレビクルーに同行した。
ゴトウくんはドイツ語専門なのに。

ロシアのテレビクルーなのに、全員軍服。
みんなでロード用のジープに乗って目的地を目指したんだけど、街中で巨大な熊に遭遇した。
その熊、消防署の前を歩いたんだけど、その消防署くらい大きかった。
熊が動くと、滑らかな毛並みの奥で盛り上がる筋肉や骨格が見える。
これ程大きな獣になると、どんなに脂肪や毛におおわれていても筋肉の隆起が見えるんだなあ、思った。

あ、こっちに気付いた。

速く逃げた方がいいのか?
逃げたら追いかけられるから死んだふりがいいのか?
運転手がジープのエンジンを切った。
熊が近づいて来る。
みんな下を向く。熊と目が合わないように...

熊がジープに触る。
がさ、がさ、と音がする。
私、これで死ぬのかな、と思った。
たまに、そういう死にかたする人いるけど、私もこれで死ぬんだな、って思った。
大きな前足の一部がフロントガラスを撫でるのが視界の端に映る。
誰も声も出さず、誰も動かず、じっと息を殺す。
車が揺れる。

しかし熊は、ジープにそれ程長く興味を保てなかったようで、静かに離れていった。
熊が去った後も、私たちはかなり長い間、ただそうして黙っていた。

熊遭遇のショックで、一行は道に迷ってしまった。
というか、目的地がなんだったか、よく思いだせない。
何度か、自衛隊か、グリーンベレーらしき隊列とすれ違った。
ヘリも飛んでいた。
多分、あの熊の対処にあたるのだろう。

日が暮れてきた頃、なにか、セクトのようなところに入った。
米軍の基地らしい。
地下にかなり広い施設がある。

私たちも兵士のフリをして潜入した。
ショッピングモールの吹き抜けテラスのような場所に兵士がいくつか輪をつくってたむろしている。
天井は光を取り込む作りになっているけど、地下だから、降り注いでいる
私は女ばかりの輪に招き入れられた。

やたらとウェルカムな雰囲気が、アメリカの映画とかでよく見るセラピーのクラスみたいだ。
不自然に甘い空気の中でみんなの自己紹介を聞きながら、頭からはあの熊のことが消えていなかった。
ここなら、軍事基地だし、大丈夫、大丈夫、と、無意識のうちに自分に言い聞かせている。

この、感じ、高校生の頃に読んだ、村上龍の「五分後の世界」に似ている。
ここは安全。でも、ほんの束の間の安全。
そんな感じ。

夜中を過ぎたころ、一人の兵士がテラスに入ってきて言った。

「みなさんご存じないと思いますが、xx時39分、あの熊は射殺されました。」

テラスがさわさわした。
安心したけど、なにか、失望した気がした。

2012年10月13日土曜日

三重の森

三重のマイちゃんからテレビ電話がかかってきた。

「夏休みヒマだから遊びにおいでよー」

そう言ったマイちゃんの後ろに広がる緑色繁りが眩しくて、すぐに行くことにした。

緑の中に佇むダーチャはとても穏やかで、ご両親はいらっしゃらなく、マイちゃんとユーリくんが二人だけでくつろいでいた。

私は別棟の屋根裏をあてがわれた。
昼下がりの木漏れ日のあたる夢のような小部屋。

夜にはユーリくんの芝居仲間も合流すると聞いていたのだが、やって来たのはアストロフの団員たちだった。
あの、五反田団と共演してたフランスの劇団、アストロフだ。

彼らは、ユーリくんを、ものぐさな勇者として主役に据えた公演の練習を、森のなかで、昼となく夜となく、繰返し続けていた。

フラグメント

スキー場
スクリーマデリカの靴下
脱衣場
シャワー
半だごて
マス
二階堂くん
ミュージカル

2012年10月11日木曜日

Rock & Roll & Wandervogel

富士山のような霊山に登って、てっぺんでライブをやった。
私たちは高校生だった。
部活だった。

マッチさんがギター兼ボーカルで、多分、部長。
私もタメで、他にタメには、この国の王子がいた。
私たちは、同じ『山を登る』という苦難を体験することで、世間知らずな王子が少しでも成長してくれればいい、なんて、偽善的なことを考えていた。
下界に帰って来てから、王子に

「どうだった?」

と聞くと、

「なにが?」

という無感動な反応がかえってきた。

「一緒に、白い沼を渡ったじゃん!霧のなか進んだじゃん。てっぺんで思いきり音鳴らしたじゃん!!」
「はあ...」

そんなことあったっけ?って感じで王子は生返事をして、自分のとばりに入りこんでしまった。

なんかショックだった。

それからマッチさんと後輩の男子生徒と、あと女子もう1人と、4人で蕎麦屋に行った。
後輩の男子生徒は平成ノブシコブシの吉村でベース担当だった。
女子の方は、前日テレビで見かけた、AKBの誰だかに似ていると評判の、テニス部の女子だった。

他の部員たちに黙って4人だけで蕎麦屋に来るのは、なんか抜け駆けしてるみたいでどきどきした。
後ろめたいけど、その何倍も楽しい感じ。

蕎麦を食べていると、同じ部の女子達がぞろぞろとやって来た。
彼女達は、私たち4人には気づかず、女子のドロドロした感じのトークバトルを繰り広げた。
その壮絶な様子に、関係ない私まで胃が痛くなった。

暫くして気づくと、蕎麦屋からは出ていて、学校にいた。
後輩の男子が何人か、血相変えて教室に入ってきて、マッチさんが、いったいどうしたのかと訪ねると、髪をツンツンにたてた男子が、

「大変です!ベースが、やめるって言ってます!!」

と、まくしたてた。

「え、ベースって、どのベース?」

と私が聞くと、別の後輩が

「ベースって言ったら一人しかいないじゃないですか!」

と、避難がましく言い立てた。

私は、え、ベースっていったら、ヒゲ?
HiGEのベース止めるの?と、一瞬ちまよったが、すぐに、平成ノブシコブシのことだと思い当たった。

「なんでまた急に...」

マッチさんが呟く。
後輩たちの言によると、ノブシコブシは人間関係に疲れてしまったらしかった。

私はすぐに、それが蕎麦屋の一件のせいだと気づいた。女子達の血で血を洗う攻防を目の当たりにしてしまった後では無理もない。

でも、ノブシコブシ本人には関係ないのに...

と思っているところで目が覚めた。

登山後山頂でライブって...なに部だったんだろう。

2012年10月8日月曜日

従兄弟の家で

防風林の枝と枝の間に砂がたまって、すっかり目詰まりしているので、竹箒で砂を掻き出すのが、私の役目。

2012年10月6日土曜日

マンモス校跡地駅

キムさんが折角だからと言うので、みんなで初詣に参った。

みんなと別れて暫く歩く。

すぐにどこかの駅に着いた。
赤い電車。
乗り換えの改札が複雑な構内。
帯広のどこかにあるその駅舎は、廃校になった小学校跡をそのまま利用したものらしい。

線路の両側に授業用水田の跡が果てしなく続いているのが、在りし日の小学校の隆盛を思わせる。

水田と言っても今は白いスチロールっぽい材質の床に水が張られていて、早苗がまばらに植わっている。
土が無いということは脱脂綿かなにかがうっすら敷かれているのかもしれない。

スチロールには面いっぱいに、子供が描いたとおぼしきクレヨン画が広がる。
廃校直前の在校生による作品なのかもしれない。
よく見れば、まばらな苗は、どこまでも続くクレヨン画をさりげなく飾るように植えられているのがわかる。

見上げれば、水田の上は体育館のような天井でおおわれている。多分開閉できるようになっていて、冬でもハウスとして利用していたのだろう。白い水田も初めてみたけど、天井がついている水田も初めてみる。

贅沢な小学校だったんだな。
しばし、開校当時の賑わいに思いを馳せる。

白い水田の中を、寂れた赤いワンマン電車がとぼとぼと進んでいく。

2012年9月30日日曜日

卓球スプーン

卓球の大会に出場している。
参加希望者は、一列に並ばなければならない。
並ぶ順は、超ビップ、手数料を払って予約した人、してない人の順。
並んだ順に、5人チームを組まされ、団体戦が行われる。
炎天下の中、列はどこまでも続く。

私は予約を取り付けていたので、比較的すぐに試合に出させてもらえた。

支給された卓球のラケットが恐ろしく小さかった。コーヒー豆の計量スプーンみたいだ。
それに、テーブルにはアルミホイルが敷いてあって、各人がそれをできるだけ滑らかにする。そして試合直前にアルミホイル部分を敵と交換するのだ。

私は
「こんなんじゃできない、ちょっと友達にラケット借りてくる」
と言って小走りで退出した。
そんな、ラケットにこだわる私を、他の参加者たちが「こいつ何者?」という目で見ているのが分かった。

まだ列に並んでいたユキちゃんにラケットを借りようとしたら、ユキちゃんのラケットも計量スプーンだった。

なんでも、数年前にルールが大幅に改訂され、ラケットも変わったらしい。

仕方なく新ラケットを借りて試合に挑んだが、全然ダメだった。

2012年9月29日土曜日

フィンランディア

フィンランドに出張か留学かなんかでやってきた。

子供達が丘陵の麓で遊んでいる。

小さな地震が起こった。

子供たちはそれほど驚いてもいないみたいで、むしろ楽しんでいるようだった。

ツレが
「みんな驚いていないね。フィンランドでも結構地震があるのかな?」
と言った。

「いや、無いはずだよ、フィンランドに
地震は」

と私は反論した。

「子供は順応性高いから。ただそれだけだよ」

それからダンスパーティーとかトイレでの壁越しの会話とかいろいろあったと思うけど忘れてしまった。

フィンランド人は寝ながら歩くほど大人しいと言われているけれど、フィンランディアを聴く限り、イメージはその真逆を行く。だから大地が揺れたくらいで驚かないのかな。
だから逆に大人しい印象なのかな。

2012年9月27日木曜日

水槽の中のベッド

打ち合わせが終わると、今日集まる場所を提供してくれた女の人(アキコだったかアイコだったか忘れたけどおかっぱあたまの優しそうな人だった)が、

「ごはん食べてく?」

と言ってくれた。
私は彼女が兼業で定食屋もやっていると知っていて、前に一度食べに来たこともあったので、彼女の飯はひどく旨い、とみんなに教えた。

みんながどうしようかな~みたいな雰囲気でうろうろしていると彼女は

「じゃ急いでお弁当作るよ」

と言ってくれた。
私は、え、今から作るのか。待つのめんどくさいな~と思った。
サイテーですね。

彼女の飯を待つ間、私たちは家の奥を見学した。彼女はとても広い家に住んでいて、奥にはいくつも部屋があった。

彼女は捨てられた動物とか放っておけないタイプで、奥の部屋は彼女に拾われた生き物で一杯だった。
私はピンクときいろのシマシマの、ティガーみたいなフォルムの仔猫がお気に入りで、
「お前大きくなったな~」
とか言って、仔猫を頭に乗っけて歩いた。
仔猫は
フーッ
って怒ったけど背中を丸めて怒った体の形がちょうど私の頭の形にあってておあつらえな帽子みたいだった。

私は、奥の部屋にも入ったことあったので得意になってみんなを案内した。

奥にはいろいろな生き物がいたけど、一番多い生き物は人間だった。

人間達は水槽に入ったベッドに寝ていた。水中で、息ができないように見えるけど、そこかしこからいびきが聞こえる。
みんな、腰についたチューブを通してちゃんと呼吸しているのだ。

ベッドにはいろいろな人達が寝ていた。
手前のじいさん(か、ばあさん)と孫息子は寝顔までそっくり。

その奥のベッドには三人親子が眠っている。真ん中で眠る、小学生くらいの小太りの男の子を両側から抱き締めるように眠る両親。三人とも少し苦しそうだ。
両親の寝相は線対称に動く。

一番奥の夫婦は結構な恒例で、誰もが羨むなかむつまじさなのに、なぜか寝るときは、お互いに上下逆さまになって眠るだよね~

と、私は、訳知りがおでみんなに説明した。みんな感心している。

ここにいる人たちって存在じたいを語るだけでもかなり面白いストーリーになるんだよね~

と私がいうと、みんなもうんうんうなずいた。

すっかりいい気になっていると、一番奥の夫婦の、旦那さんの方が起き出してきた。

寝ているときは気づかなかったけど、起きてブンブンワメいている声を聞いて、彼がエイちゃんであることに、初めて気づいた。

エイちゃんは黄金のギターをかきむしりながら、音圧が足りないというような文句を言っていた。

けど実際にはギターからはバッツバツのめちゃくちゃいい音が出ている。

めちゃくちゃいい音じゃないっすか!

と、私が言うと、エイちゃんは、

「アンプがなきゃ話んなんねぇよアンプがなきゃあ...」

と毒づいた。
言われてみれば、確かにギターはアンプに繋がっていない。
アンプに繋がっていないのにこんないい音出るのか!
さすがエイちゃんはやっぱすげえ!
と思った。

あの部屋に、一人で寝ているベッドは一つもなかったなあ、って、目覚めてから思った。