夏休みでどこかに泊まりに来ているのだけど、そこからさらに4人くらいで連れだって、昔下宿していた民宿に遠出する。
一泊して帰ろうとすると、靴が見つからない。トルコ石色の靴。
あ、これこれ、と履いてみたら踵がない。近年よく見るスニーカー風の突っ掛けだ。
私のはこれじゃない。
私のトルコ石色の靴は、踵がちゃんとある。あれ、それともあれ、トルコ石色の、サンダルだっけ?
あれ?あれ、そもそもこっちに持ってきてたっけ...?
うん、持ってきてなかった気がする。通りで探しても無いはずだ。
民宿から母体のホテルに戻るためには橋を渡る。
橋がかかっているのは川ではなく海で、両岸に浜辺が広がっている。
ちょっと寄り道して帰ろうかな。
そう思ったのは初めのうちだけ。いざ橋に差し掛かってみると、波が逆巻いていて、とても危険な感じだ。
橋の左側は、いくつもの渦が出来て、目が回りそうだし、橋の右側は大きな波が生き物の様にうねって、見ているだけで魂を飲み込まれそうな気がする。
大波のうねりはこちらの平行感覚を奪い、陸地そのものがうねっているような錯覚に陥る。
とうとう波から目が離せなくなって、立ち止まったところに、大波がざぶりと降りかかった。
3D映画を見ていたはずなのに実際に濡れてしまったような衝撃の水しぶきだった。
大人ならここで遊んでも平気そうだけど、子供は無理だな、と思った。連れに子供がいたので、浜辺に寄るのは危険だと結論付けた。
本当は自分が怖かっただけかもしれない。
けれど、橋を離れても、あの、大地をも揺るがすような波のうねりが私の心を捕らえて離さなかった。
波に、魅いられてしまった。
一旦ホテルに戻ると今度は誰かを追いかけて一人で外に出た。
背中が小さく見えている。
追い付かなくちゃ。
道の途中で垂直に登るリフトがあった。
ロープに向きだしの足場が突き出ているだけど簡素なリフト。
そのリフトを登る方が近道のような気がして、ロープをつかみ、足場に足をかけた。
リフトはゆっくりと上に上っていく。
蒼穹に映える夏雲。
あの雲の上を、歩いて近道出来るのだろうか。
しかし、上の方に見えてきたのは工事現場だった。
とても近道にはなりそうにない。
後悔しても今さらリフトからは降りられない。
一瞬焦ったが。
そのまま上で降りないでリフトにつかまっていれば地上に戻れると気づいてその通りにした。
その通りにしたけど、なんとなくつまらない気持ちになった。
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