戦から逃れるために、城の抜け穴に潜りこんだ。
煙突のように細い抜け穴を、木登りするみたいに登っていく。
一番上に突き当たると、小窓のようなものがある。なんとか手が届きそうなので、手足を目一杯突っ張って、小窓を押すと、下がからくり扉になっていて、壁がガバっとひっくり返り、私は壁の向こう側に転がりこんだ。
転がりこんだ部屋は、城の本丸近くに当たるはずなのに、わりと洋風で、壁が白い。
洋風、と思ったのは、突然転がりこんできた私の顔を覗く面々の幾人かが、洋服をきていたからというのもある。
洋服のうち一人は明治辺りに流行ったような、わりかし動きやすいドレスを着ていて、姫さまと呼ばれている。
日本語が話せないようで、洋服を着た男に通訳させている。
彼女の言葉は聞き覚えの無い音だったが、なんとなくヘブライ語のような気がした。
通訳の男も決して日本語が達者なわけではなく、片言で一生懸命私に話しかけてきた。
二人の他はみんな着物の女の人で、日本語が話せそうなのに自発的に言葉を発しない。主に絶対服従なのかもしれない。
ここは大奥なのかもしれない。
私は紅茶と御菓子をふるまわれ、さっきまでの戦の喧騒が嘘のように思えるほど平穏な時間を過ごした。
そのあと、憲兵隊が乗り込んできてひと悶着起きたけどよく覚えていない。
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