目覚めると妹がこちらをのぞき込んでいた。
部屋中が薄青い。朝方なのだろうか。
妹は、長く緩いドレッドをピンクとライトブルーに染めていた。カーテンも壁中に張られたポスターもすべてピンクとライトブルーの色味のものにそろえられ、部屋仕切りに垂れたすだれもピンクとライトブルー。ビリーアイリッシュの信者みたいだ。
これは夢だと気づいた。
妹がビリーアイリッシュの信者なわけがない。
明晰夢だ。自分の夢の中なんだから、何もかも思い通りになる。
気づいたとたん、急に楽しくなって、体中の細胞が覚醒した。
私は二段ベッドから飛び降りて、外に出た。
外はもう明るかった。曇り空がまっ白い。
空も飛べるはず。
そう思って勢いよくジャンプしたら、思った通り飛ぶことができた。
体をグッとのけぞらせると高度が上がり、背中を丸めると高度が下がる。
街の中を飛び回る。
横断歩道の前に降りると、道路向かいのビルから黄色いモンスターの形をした巨大な風船が噴き出すのが見えた。飛び上がって風船に乗っかったりして遊んだ。
他にもいろいろ見たりやったりしたと思うけど忘れてしまった。
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目が覚めてからも、少しの間「明晰夢」を見たということに興奮していた。
初めてみたかもしれない。そう思って少しの間思いを巡らしているうちにだんだん気持ちが冷めてきた。
夢だとわかって、夢をみていることは今までにもあった。
夢から覚められない夢とか、まさにそうだ。それは明晰夢なんていいもんじゃなくて、単純に言って悪夢だった。
今回の夢をみている間、「夢の中の私」は確かに思い通り自由に空を飛んだりしていた。
けれども目が覚めて思うのは、あれが「夢をみていた私」のやりたかったことだったとは思えないということだ。私には、もっと他にやりたいことがあるし会いたい人がいるはずじゃないか?なのに、「夢の中の私」はただ脈絡もなく飛び回っていて、「夢をみている私」はただそれを映画みたいに見ていただけだった。これが本当に思い通りと言えるのだろうか。これが本当に、自分が夢をみている最中だと自覚していることだと言えるのだろうか。
明晰夢とは。
2020年2月22日土曜日
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