2014年4月23日水曜日

霜柱電車

年季奉公なんだと思う。
畳の部屋に住まって、働く。
新人は私の他に4、5人いて、苦しいけれど、みんなよく耐えて働いている。

みんな出払って、私一人留守番をしているときだった。
窓から見える線路をキタキツネが横切るのに気をとられていたら、いつの間にか客が来ていた。

客は、いかにもやくざものの、がたいのいい男と、女と、若い男と、若い娘の4人で、今年奉公に出した新人を回収しに来たとのことだった。

他の奉公人が帰ってきた。
みんな怯えている。
客は、私たち奉公人を売り飛ばした、人売りの一団だったから。
私たち奉公人は、お屋敷での暮らしは辛かったけれど、彼ら人売りの元に帰るよりはずっとましだったので、屋敷に残りたいとごねた。

すると、ヤクザものの男は、屋敷に残ってもいいが、それ相応の代償を払わなければいけない、というようなことを言った。

そして、私の口に手を突っ込んで奥歯を抜き取った。
私の奥歯は差し歯だったので、大して痛みは感じなかった。ちょっとすかすかするだけだ。
他の奉公人たちも歯を抜かれていた。

ある奉公人などは、下の歯一列ごっそり抜かれていた。
抜かれた歯の連なっている様子が、霜柱みたいだった。
霜柱で作った電車のオモチャみたいだった。

その後、女に平手打ちされ、若い男と若い娘にも何か暴力を受けたが、若い二人は明らかに手加減しているのがわかった。

この二人は、望まぬのにこんな稼業の家に生まれてしまったのかなあと思った。

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