オガタさんと他の何人かでランチに出た。 オガタさんはグルメなので、どこに連れて行ってくれるか 楽しみだ。 まるで地中海沿いのようなオシャレな町並み。
私たちは、ピンクだか黄色だかの土壁のレストランに入っ た。 馴染みの店のクッチーナだ。 裏口から入って、日の注ぐ広い店内を通り抜けると、表玄 関のところで店主とすれ違った。 ショートカットのために店内を横切っただけだったので、 なんだか気まずい。 店主の顔を盗み見ると、それは、エンジェルフェイクのご 主人だった。 すっかり白髪になって、かなり年老いている。 最後に彼の店に赴いてから、これほどに時間がたってし まったのかと思うと胸がズキンと傷んだ。
店を出ると、オガタさんがいつまでもうろうろしているの で、尋ねてみると、彼女の目当てはクッチーナなのだと判 明した。 なんだそれならそうと言ってくれればいいのに。 そうすれば店主とすれ違った時、あんな気まずい思いしな くて良かっただろうに…
それに、グルメのオガタさんが選んだ店が、まさかのクッ チーナだということにも、俄然がっかりした。 通り抜けるだけのつもりだったのに「席を作ってくださ い」と店主にお願いしなければならなくて、またまた気ま ずい思いをした。 席に着くと、誰が一番の常連かというくだらない理由で張 り合いになった。 連れの中に役所公司がいて、自分の常連振りを見せつける ために、ガラス張りの一面に、自分の映像が映る演出をし かけた。 山高帽をかぶって灰色の机に座った沢山の役所公司が草原 の中を机ごと滑って行くという映像だった。 わけわからなかったけど、まあ、気持ちのよい映像では あった。 「ちょっと言えばだれでもやってもらえるよ」 目の前の役所公司は、そう言って得意げに謙遜していて、 なんだか嫌な感じだった。
ランチから戻ると、会社の時計は2:20を指していた。 少し60分の制限時間を少しはオーバーしている気がした けど、これ程とは思わなかった。 「1時に出たよね」 と、オガタさんと言い聞かせあった。
夕方、まだ就業時間ではなかったけれど、外に出た。 日の落ち切らないオシャレな町並みに心が躍る。 クッチーナでは立食パーティーが始まっていた。 トモコさんが赤ワインのグラスを片手に笑っている。 私はパーティーに呼ばれていないのにその場にいることを 後ろめたく思いながら、飲み物をもらおうと、店員を探し た。 けれども結局後ろめたさに耐えきれず、仕事に戻ることに した。
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