本棚が沢山立ち並ぶ中で、若い人達がざわざわしている。
異様なほど眼差しの真っ直ぐな青年が、赤い表紙の本のことを熱心に語っている。
赤い表紙に白い枠。
誰だかの生き方だか、生きざまだか、そんなかんじの本らしい。
熱弁されてもちっとも頭に入って来なくて困っていたら、ゴスロリ風且つノーメイクの腐女子が表れて、青年を諭してくれた。
「誰もがみんな私たちと同じ価値観とは限らないんだよ。この人、困ってるじゃん」
そのまま二人は議論に突入しそうな雰囲気だったので、私はじりじりと後じさり、ほうほうのていでその場を逃げ出した。
*****
誰かの卒業証書を取りに、体育館へと忍び込んだ。
どうして私が彼の代わりに卒業式へ潜入しなければならなかったのかは覚えていないけど、兎に角彼本人には体育館に来れない事情があったのだ。
体育館のなかでは誰にも見とがめられなかった。証書を掴み取っても誰にも見とがめられなかった。
こんな簡単でいいのだろうかと思いながら外に出ると、受付の人に見とがめられたのでほっとした。
「XX君の関係者です」
と説明すると、あっさり解放された。
家族でもなく、こんな曖昧な関係説明で大丈夫だろうかと不安だったので、拍子抜けだった。
卒業証書は細長い筒に入っていた。
細長すぎて、設計図とか入れて持ち歩くケースみたいだった。
卒業証書って、今でも筒に入れるのかしら?
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