田舎の学校の演劇部がまるごとスカウトされて、映画撮影のために都会の学校に入学する話が持ち上がる。
部員たちはみんなでこっそり旅をして、ゲネがてら、都会の学校を見に行く。
ゲネではみんな、ブルースリーみたいな黄色のツナギを着ていた。
みんなだふだぶだった。
スカウトマンが一番期待をかけているのは大柄な美女。演劇部の副部長。彼女の輝きは尋常じゃない。
演劇部自体、彼女の求心力で成り立っているといっても過言ではない。
彼女は学校では単にみんなのリーダー的ポジションにいるのが好きな、よくいるタイプの女の子だったが、スカウトマンの目に映る自分の中に、新しい自分を見いだしはじめている。
プロの俳優たちから刺激を受け、向けられたことのない視線を受け、自分の内側から、溢れでてくるものを、虎のように見つめ、しなやかに受け止めている。
それから目を引くのは、ジョニー・ウィアーみたいなキレイな顔した小柄な男の子。
彼は友達に釣られてなんとなく入部しただけで、それほど芝居に興味がない。仲間内でふざけあっていられればなんでもいい。
同期の、しっかりものでマネージャー的存在の女の子が、自分に想いを寄せているなど夢にも思わない。
そんな彼に目をつけたのはスター俳優の男。この俳優はオープンゲイで、芝居を理由に男の子にキスをする。
初めて男とキスをした男の子は今までに感じたことのない衝撃と胸のざわつきをもてあまして、いつもより余計にふざけた振る舞いをする。
そんな彼の様子に気付いたマネージャー的女の子は気が気じゃない。
彼女は自分のポジションをわきまえている。舞台の上では脇役に徹し、舞台を降りれば世話役に徹する。彼女は舞台を愛しており、表でも裏でもなんでもいいから、舞台作りに関わりたいと思っている。
そんな情熱に水を指す、恋心と嫉妬心のために、彼女は葛藤する。
相手が男でなければこんなに辛くないのだろうか。例えば、あの美しい副部長が相手なら、お似合いだなって、笑えただろうか。
そんな自問自答にきをとられて、芝居が疎かになる自分をうしろめたく思っている。