ナン屋で働いていた。
ちょっと宅急便に用事があったのだけど、電話したら留守だったので、自分で届けることにした。
八百屋の前まで来たとき、洒落たジープが目の前を横切って停まった。
ジープの荷台には、紺の学ジャーを着た中学生の男の子たちがわんさか乗っていて、ジープが停まると、ぞろぞろと降りてきた。
あんなオシャレ臭い車で廃品回収でもしてるんだろうか、と思いながら、丁度目の前にポストがあったので、郵便物をカバンから取り出した。
カセットテープを封筒に入れたような紙包み。
その紙包みが、やにわに凄い力で上昇しはじめた。
びっくりして大声を出しながら、必死で包みを押さえるも、包みは確実に上昇していき、私の体まで一緒に宙に浮きそうだ。
一人で宙吊り状態になっている私を見て、喜んだ中学生たちがわーわー言いながら集まってきた。
わーわーわー
ぐいぐいぐい
たまらず手を離すと、包みはゆっくりと昇っていき、青空に消えていった。
それからは、私の触るものは片っ端から重力を失った。
フォークが飛んでいった。
鉛筆も飛んでいった。
ナンも飛んでいった。
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