登校してみると、隣の学校が慌ただしい。マスコミが来ていて、マイクを向けられた生徒らしい女の子が「うちの学校にUFOなんていません」と答えているのが聞こえた。
隣はすごいことになってるなと思いながら校門をくぐると、帰っていく前田司郎とすれ違いそうになり、気付いたら、「今日なんかあったんすか?」と声をかけていた。
前田司郎は、「昨日のアレで、今日は全講義中止らしいよ。」とかなんとか言った。アレがなんだったか思い出せないけど、ハリケーンかなにかだったと思う。
私はへえそうなんだーとか相槌打ちながら、彼の横を歩き出した。
今を逃したら彼と話せるチャンスは二度と無いと思い、必死で話題を探した。
「前田さん千葉から帰って来たんですね」
そう言ったあと、見ず知らずの人に自分の名前や行動を知られていたら不気味かも、と思い、
「ツイッターで見たんですけど」
と付け加えた。
それから、心の中で
「あれ、千葉だっけ?」
と、疑問を持ったが、他の地名は出てこなかった。
目覚めた今なら、本当の前田司郎はロンドン滞在中だとわかるが、夢の中では思い出せなかった。
彼はその話題に無関心らしく、ああ、とかうん、とか、生返事を繰り返した。
前田司郎の髪型は、坊主の上部だけをのばしてポマードでかためていた。
そうこうするうちに、芝居の稽古場まで来てしまって、私は入団希望でもなんでもないのに、稽古を見学したいと願い出た。
稽古場で、今夜の芝居のチケットを買った。
団員の中にナカジマさんがいて、稽古終了後に私のCDをかけた。