2010年10月11日月曜日

いきはよいよい

ひとまわり小さくてツルッとした感じのキクチさんが問いただす。
『ナカノさん、このお客さん、やったことあるよね?覚えてないの?』
うっすら覚えてるような覚えてないような私はひっしで取り繕うもむなしく。
そのお客を訪問することになり、遠い(たぶん北海道)ので飛行機で行くはずが、電車で行こうとしてハラグチさんに失笑をかう。なんとか飛行機に乗って行った先の記憶は無く、帰りは自転車で帰ることになった。途中まで並走してくれる誰かがいたが、峠に差し掛かったとき一服して、坂道発進がうまくできないでいるうちにおいていかれた。

私はもうあきらめて、上まで自転車をおしてのぼった。
頂上には立て付けの悪いふすまがあって、大人がやっと顔を出せるくらいしか開かない。向こう側を覗くと図体のでかい高校生のグループが襖を通り抜けられず立ち往生している。私は小さいので自転車をすてて、優越感に浸りながら襖を通り抜けた。しかししばらく行くと、捨てた自転車のことが無性に惜しくなってきて、とうとう引き返した。

戻ってみると相変わらず高校生たちが立ち往生していた。
またもや優越感に浸りながら通り抜けようとすると向こう側にめちゃくちゃ細長い大蛇がいるのがみえた。恐怖で動けないでいると耳が貝の内側みたいに虹色に光る仔象が現れ、壮絶な戦いがはじまった。
私は象があんな豪快に跳ね回るのをはじめてみた。

振り返ると高校生が
『だから通れないんだ』
と呟いた。私は返す言葉もなく、今は二頭に増えた虹色の耳の象と、さらに長くなった大蛇との戦いを眺めていた。

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