2017年9月17日日曜日

がさつを装う黒馬の彼

前にもらった絵の書き方の本がとても面白かったので、今回もやってみた。
教材の台紙に指示通りに絵の具をのせていく。出来上がった絵は、不思議なことに、見る角度を変えると別な絵が浮き上がってくるのだった。
友達に見せてといわれて見せた。
みんな面白がっていた。どういう仕組みなのかと尋ねられたが、私にもよくわからなかった。

休み時間が終わってつぎの授業が始まった。
先生が、今日はゲストがいますといって、誰かつれてきた。
それは大きな黒い馬のように見えた。
しかし流暢に人の言葉で自己紹介を始めた。
驚いて顔をよく見ると顔は人の顔をしていた。黒い艶々の毛並みに見えたのも、よく見ると、ドーランで黒く塗り込めているように思えてきた。

彼の話し方はズケズケしていて、小さなことは気にしない、ちょっとがさつな性格を思わせるものがあったが、なんとなく、神経質であったり、傷つきやすい部分を隠そうとして、あえてそういう話し方をしているようにも感じられた。

回りから奇異の目で見られるのが日常化しているなかで、そうゆう振る舞い方を、強さを身に付けたのかも知れない。

「よろしくどーぞ」
と彼が前足を差し出して来たので握手をした。前足も、人の手のひらの形をしていて柔らかかった。
触ったら黒いドーランが手につくかな、と思ったが、なにもつかなかった。
やはりドーランを塗ったのではなく、艶のある黒毛なのであった。

教室の外から誰かが呼ぶ声がして、先生が外の人物と話した。
父兄のなかに、彼の存在を理解できていない者がいるので説明しにいく必要があるらしく、先生と、馬の彼は教室を出ていった。

先生たちを待つ間、絵を描いていた。

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