文化祭のような、街のイベントで、私は食べるものかなにかを探していた。
もっと大事なもの探してた気もするけど思い出せない。
必死に探してるわけでもなかったけど、その実、頭の中は、その探し物のことでいっぱいだった。
舞台そでで、私はきっかけを待っていた。そのきっかけがありしだい、楽屋に戻ろう、と考えていた。
いつもの着物を着たスギタさんとすれ違った。
あっと思って振り返った。
スギタさんは、あどうも、って感じで、扇子を持ち上げて会釈して、舞台に出ていった。
それが、私の待っていたきっかけだったかもしれない。
けれども、虚をつかれた私は、そのきっかけを逃してしまった。
舞台ではスギタさんが落語を一席うち始めている。
いや、結構練習したんですよ...なんてゆう、スギタさんの飄々とした心の声が聞こえてきそうだ。
スギタさんの噺はなんだか不思議と次が気になって、私は舞台そでを離れられない。
楽屋に戻ってなにか探さなくちゃいけないのに...
頭の中はその事で一杯なのに、脈絡も無いスギタさんの噺を、私は黙って、笑うでもなく聞き続けた。
私はなにかを探していた。
けれども何を探していたのか、さっぱり思い出せない。