2019年8月7日水曜日

操られている感覚はなかった

弟の友達の男の子が「お姉さん、グランツーリスモやりましょうよ」と誘ってきた。
私は洗い物をしていた手を止めて、二人の方にふり返る。

弟たちに「お姉さん」と呼ばれたことはないので、こういうのは少し気恥ずかしい。

私はゲームが出来ないタイプの人間なので、弟とその友達がゲームするのを、横でみていることにした。

青く薄暗いレンガのダンジョンを、コントローラに操られた何かが進んでいく。
ゲーム画面の画素が粗くて、最初はなんだかわからなかったが、よく見るとそれはブロンドの、首だけの女だった。
首の切れ口とブロンドの色が似ていて、全部合わせて黄土色のクラゲの足みたいだな。

首だけの女を、弟の友達が操る。
首だけの男を、弟が操る。
それを順番に繰り返している。
時々甲冑の騎士が出てくることもある。

私はいつの間にかダンジョンの中の首の一つになっていた。
誰かに操られている感覚はなく、自由に、自分の意思で動いている感覚。
ダンジョンのどこかのオーブンでチョコチップクッキーを焼いて食べた。

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