ベランダに出てふと横を見ると、おとなりさん、ベランダ1面がお墓になっていたのでとても驚いた。
おとなりさんに何かあったのだろうか。
正直、隣に誰が住んでいるのかも知らなかったけれど、心配する気持ちになった。
お隣のお隣さんも、ベランダからお墓をのぞいていて目があった。
若い、顔立ちの整った男の人だった。
それから私たちは少し話をして、同じフロアの住民たちで集まることになった。
お墓の部屋の人のことを、警察に事情聴取されるかも知れないのでその前にみんなで話し合おうとかそんなことだったと思う。
それで、私は同じフロアに住む人々と話をした。
茶色がかった縮れ髪をお下げにした、エプロンをかけた奥さん風の人などがいた。私はこの人たちとひとつ屋根のしたで暮らしているのだな、と、感慨深い気持ちになった。
話し合いが終わったあと、そのエプロンの奥さんと、若い男の人と、私の三人だけ部屋に残っていた。
男の人が、私の手の、親指の爪を鉛筆で塗りつぶし始めた。
ずいぶん濃そう。たぶん3Bとかだ。
男の人は、爪を塗りつぶし終わったら、今度はそれを舐め始めた。
私は驚いて彼の表情をうかがおうとしたが、爪を見る彼は無心そうだった。
鉛の味が好きなのだろうか。
鉛筆が舌について、彼の舌が黒くなった。
男の人はそのまま舐め続けて、そのうち指全体を舐め始めた。
私はなんだかエッチな気持ちになってきて、彼の服を脱がせようと、シャツのボタンを外した。
ボタンを2、3外すと、彼の胸があらわになったが、それが、アルミニウムのような、銀色の金属でできているのだった。
私は、この男の人は人工的ななにかなのだと悟った。ロボットなのか。
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目が覚めて、AIのロボットがエロスを持ち得るかについて考えた。
生殖機能があれば、エロスを持ち得るのかもしれない。
けれども、生殖機能をもち、自律的に繁殖できるようになった場合、それはロボットの定義に入るのだろうか