2017年9月24日日曜日

死とエロスと人工

ベランダに出てふと横を見ると、おとなりさん、ベランダ1面がお墓になっていたのでとても驚いた。

おとなりさんに何かあったのだろうか。

正直、隣に誰が住んでいるのかも知らなかったけれど、心配する気持ちになった。

お隣のお隣さんも、ベランダからお墓をのぞいていて目があった。
若い、顔立ちの整った男の人だった。

それから私たちは少し話をして、同じフロアの住民たちで集まることになった。
お墓の部屋の人のことを、警察に事情聴取されるかも知れないのでその前にみんなで話し合おうとかそんなことだったと思う。

それで、私は同じフロアに住む人々と話をした。
茶色がかった縮れ髪をお下げにした、エプロンをかけた奥さん風の人などがいた。私はこの人たちとひとつ屋根のしたで暮らしているのだな、と、感慨深い気持ちになった。

話し合いが終わったあと、そのエプロンの奥さんと、若い男の人と、私の三人だけ部屋に残っていた。

男の人が、私の手の、親指の爪を鉛筆で塗りつぶし始めた。
ずいぶん濃そう。たぶん3Bとかだ。

男の人は、爪を塗りつぶし終わったら、今度はそれを舐め始めた。
私は驚いて彼の表情をうかがおうとしたが、爪を見る彼は無心そうだった。
鉛の味が好きなのだろうか。

鉛筆が舌について、彼の舌が黒くなった。
男の人はそのまま舐め続けて、そのうち指全体を舐め始めた。

私はなんだかエッチな気持ちになってきて、彼の服を脱がせようと、シャツのボタンを外した。

ボタンを2、3外すと、彼の胸があらわになったが、それが、アルミニウムのような、銀色の金属でできているのだった。

私は、この男の人は人工的ななにかなのだと悟った。ロボットなのか。

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目が覚めて、AIのロボットがエロスを持ち得るかについて考えた。
生殖機能があれば、エロスを持ち得るのかもしれない。
けれども、生殖機能をもち、自律的に繁殖できるようになった場合、それはロボットの定義に入るのだろうか

2017年9月17日日曜日

がさつを装う黒馬の彼

前にもらった絵の書き方の本がとても面白かったので、今回もやってみた。
教材の台紙に指示通りに絵の具をのせていく。出来上がった絵は、不思議なことに、見る角度を変えると別な絵が浮き上がってくるのだった。
友達に見せてといわれて見せた。
みんな面白がっていた。どういう仕組みなのかと尋ねられたが、私にもよくわからなかった。

休み時間が終わってつぎの授業が始まった。
先生が、今日はゲストがいますといって、誰かつれてきた。
それは大きな黒い馬のように見えた。
しかし流暢に人の言葉で自己紹介を始めた。
驚いて顔をよく見ると顔は人の顔をしていた。黒い艶々の毛並みに見えたのも、よく見ると、ドーランで黒く塗り込めているように思えてきた。

彼の話し方はズケズケしていて、小さなことは気にしない、ちょっとがさつな性格を思わせるものがあったが、なんとなく、神経質であったり、傷つきやすい部分を隠そうとして、あえてそういう話し方をしているようにも感じられた。

回りから奇異の目で見られるのが日常化しているなかで、そうゆう振る舞い方を、強さを身に付けたのかも知れない。

「よろしくどーぞ」
と彼が前足を差し出して来たので握手をした。前足も、人の手のひらの形をしていて柔らかかった。
触ったら黒いドーランが手につくかな、と思ったが、なにもつかなかった。
やはりドーランを塗ったのではなく、艶のある黒毛なのであった。

教室の外から誰かが呼ぶ声がして、先生が外の人物と話した。
父兄のなかに、彼の存在を理解できていない者がいるので説明しにいく必要があるらしく、先生と、馬の彼は教室を出ていった。

先生たちを待つ間、絵を描いていた。