クミの旦那さんが、シバさんと学生時代からの友達であることが判明した。
水源池のほとり。
空も水も木々も、シバさんの横顔も薄明の青に染まっている。
終電も終わっているはずだし、夜は更けているはずなのに。
白夜が近いのかも知れない。
水際のステージで、ガラコンサートがお開きになったところだった。
クミの旦那さんの家は水源地をぐるりとまわりこんだ、丁度対岸のあたりにあって、私とシバさんは彼を家まで送っていった。歩いて。
シバさんの家はさらにぐるりを直角ぐらいにまわりこんだところで、私は彼を送っていった。歩いて。
水際も遠い稜線もシバさんの頬も、ずっと薄明の青だった。
シバさんの家が近づくと、シバさんが気をつかって、私を家まで送ると言い出した。
私は自分の家がどこかわからなかったし、せっかく自分がここまで送り届けた意味がなくなるからと言って、シバさんの申し出を断った。
いやいや、しかし時間も時間だし... いやいや、気づかい無用ですから... みたいなやり取りがノロノロといつまでも続いた。
ノロノロとしたやり取りの間もあたりはひたすら薄く青白んでいた。
茶色く錆びた扉があった。
見たことのあるような気がする人びとが、楽器を手に、出たりは行ったりを繰り返していた。
扉が開く度、向こう側で鳴っている楽器たちの音が切れ切れに聞こえてきたけれども、切れ切れ過ぎて、どんな音楽なのかは判じられない。
暖かい風が私達の髪や服をはためかしたので、風の来た方に振り替えると、新しいガラコンサートが始まる様子が見えた。
あたり一面青なのに、ステージの楽器たちは暖色の、柔らかい光を放っていた。
夜が明けるのかも知れない。
シバさんが、ちょっとシンマさんを呼んでくるとかなんとか言ったところで目が覚めた。
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昨日は1983からのお知らせに動揺してしまいなかなか寝付けず、うつらうつらしていたところで明け方に見た夢だったので、こんな結果になったのは当たり前でしょう。
発熱のせいで、ホテルのプールに入れなかったのも影響したかもしれない。
筒井康隆のパプリカで、自分にとってあまりにもインパクトの強い人や物は衝撃が強くて目が覚めてしまうから夢に出て来ない...というような記述があってなるほど確かにと思ったものだ。
私のなかでシバさんの存在は、1983となんらかの繋がりを持っていて、且つ目覚めないですむ程度に核心からは離れているぎりぎりのラインだったのかも知れない。