さやさんが片っ端に書架を整えていた。
ロシア語の古い本を集めた棚もある。
面白そうな本ばかり。
鼻腔をくすぐる接着剤となめし皮の癒着した臭いを発しながら錆びた金文字が誘いかける背表紙に手をかけそうになったが、すんでのところで思いとどまる。
私にはもう時間がない。自分の好きな文体の本だけ読むべきだ。
古めかしい素材と落ち着いた色調で統一された図書館家具はしかし、解放感のあるモダンなレイアウトで、回廊の奥に遠く見通せるホールには若い人たちがまばらにたたずんでいる。どこかの大学のキャンパスらしい。
ホールの方に行くと、弟とその友達が大階段の裏に張り出した壁のディスプレイにいそしんでいた。
弟の友達、今度も名前がわからない。
手に、図書館の本を持ったままだと気づき、戻ろうと、吹き抜けの広間を横切ったら、どこかからレゲエの低音ばかりが聞こえてきた。
二階のどこかの部屋で誰かがご機嫌なイベントを開催しているのだろうか。
レゲエ