小舟に乗って、雲一つ無い青空を見上げている。
空に一点のノイズが光っている。
ズームで拡大してみると、総菜を入れるようなプラスチックの透明なパックが天高く浮遊している。パックの中には再生紙のような色をした文書が数枚入っているようだ。
釣竿を振る。
小波が船底にあたる騒がしさを切って、竿のしなる音が頬に触れる。
きらりと光りを反射した釣り糸の先がプラスチックパックを留めている輪ゴムに見事引っかかり、不審な文書を無事に釣り上げたのだった。
教室。
専門学校?
誰も来ないと思って、不審文書の後始末をちんたらやっていたら、アメリカの女子高生みたいな二人組が入ってきた。
人前で広げてよい文書ではなかったので、そそくさとしまって何でもないそぶりを装う。
のどが渇いた。
たしか、教室を出て左側に行くと、突き当りにスープの自販機があったはず。
少し遠いけど、ハイスクールガールたちをやり過ごす意味でも、スープを買いに行こうと思い、教室の外へ出た。
左へ曲がろうと思っていたのに、なぜか、なんとなく、右に曲がる。
右側には階段があって、階段の前が広場のようになっている。
広場にはジュースの自販機が何台かあって、その奥には仮設の飲食スペースのようなものがある。
近づいてみると、小汚いおやじがカウンターの中で音量を絞った野球の中継か何かを見ている。どうやら袋緬を調理して出す屋台らしい。
おやじさんと目があってしまい、そのまま立ち去ることもできず、スープを飲みたかったのだからまあいいかと思って蕎麦を注文した。
第一印象とは大きく違って、話してみれば、気さくなおやじさん。
うるさいということもなく、こきみよい会話が続く。
蕎麦はとっくにできているはずだが、おやじさんが話に夢中なのでなかなか「蕎麦は?」の一言が切り出せない。
そうしているうちに電話が鳴って、おやじさんが黒い受話器を取った。
おやじさんがなにやら話している間に二人連れの客が来店する。
チン、と電話を切ったおやじさんが、私の前に蕎麦をドスンと置いて、新しい客に注文を取りに行った。
大根おろしや紫蘇、生卵などがこんもり盛られた下に、ベロベロに伸びた袋麺の蕎麦。
見ているだけで胸やけがしてくる。
おやじさんは新しい客と話し込んでいて、私の方は見ていない。それでも、さすがに一口もつけずに帰れば角が立つだろう。
思い切って一口ほうばる。
水に浸した粘土を口いっぱいに詰め込まれたような心持。
えづきそうになるのを必死にこらえながら少しずつかみ切って粘土を飲み込む。
一口でもう無理…。
というところで目が覚めた。
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目が覚めてみたら、ものすごい胸やけだった。
昨晩食べ過ぎたか。
袋緬の屋台のくだりは、おそらく昨日町田康がおすすめ本を紹介する動画を見たのがでた。